コピートレード(コピトレ)は、プロの取引を自動的にコピーできる便利なサービスですが、詐欺も多発しています。特に初心者を狙った悪質な手口が横行しており、注意が必要です。
本記事では、コピトレ初心者が特に騙されやすい3つの詐欺パターンと、その具体的な対策方法を詳しく解説します。
1. 含み損隠しで勝率を偽装する詐欺
最初にご紹介するのは、見かけ上の勝率を高く見せる「含み損隠し詐欺」です。この手法は非常に巧妙で、多くの初心者が騙されています。
小さな利益は即確定、大きな損失は放置
含み損隠し詐欺を行うトレーダーは、以下のような取引パターンを繰り返します。
- わずかな含み益でもすぐに決済
- 10pips、20pipsの小さな利益を積み重ね
- 資産グラフは順調に伸びている
- 含み損が出てもポジションを放置(塩漬け)
- 損失は確定させずに隠し続ける
- 決済しないので取引履歴に残らない
この手法により、決済された取引履歴だけを見ると勝率80~90%という驚異的な数字が生まれます。初心者はこの勝率や利益率に魅力を感じ、「このトレーダーなら安心」と判断してしまいます。
勝率90%でも隠れた含み損で実質マイナス
表面的な勝率が90%を超えていても、実際の口座状況は全く違います。未決済の含み損により、実際は大幅なマイナスを抱えることになります。
コツコツドカン! 含み損爆発でロスカット
含み損を抱えたポジションは、いずれ証拠金維持率が限界に達し、強制ロスカットか損切り決済の結末を迎えます。どちらにしても、大きなマイナスが決済されることになるためフォロワーの元金と利益が一瞬で消える事になります。
このように、勝率や利益率だけを見ていては真の実力は分かりません。
対策:未決済損益を必ずチェック
含み損隠しを見抜く確実な方法は、未決済損益(未実現損益)を確認するしかありません。
- 現在進行中のポジション状況をチェック
- 含み損が大きくないか確認
- 長期間保有している負けポジションがないか調査
コピートレードのプラットフォームによっては、未決済ポジションが公開されていない場合もあります。
未決済ポジションが公開されていないとゆうことは、取引履歴の偽装も可能となるため、そのような取引所を利用するべきではありません。
2. サクラレビューで人気を演出する詐欺
2つ目は、偽のレビューで人気を演出する詐欺です。SNS全盛の現代では、この手法が非常に巧妙化しています。評判や口コミには注意してください。
偽アカウントによる組織的投稿
- 数百のサクラアカウントを作成し、集中的に絶賛コメントを投稿
- グループメンバーによる一斉いいね・リツイートでバズ演出
- 短期間に集中的にポジティブなコメントを投稿
タイミングを狙った工作活動
- 新規募集開始と同時に大量のレビューによる話題性を演出
- 「今だけ限定」「残り○名」などの緊迫感で判断力を鈍らせる
権威性や信頼性をアピール
- 高級車や豪華な住居の写真で成功者を演出
- 有名人の名前や顔を無断使用して推薦があるかのように装う
- 実在しない感謝動画や体験談を作成
これらの偽レビューにより、多くの人が満足しているかのような錯覚を与えます。しかし、無資格者による投資勧誘は違法行為であり、真に優秀なトレーダーはこのような手法に頼る必要がありません。
対策:口コミを一切信じない
サクラレビュー詐欺から身を守るには、評判や口コミを信用せず、自分で分析する力を身につけることが不可欠です。明確な判断基準を持たずにコピートレードに参加するのは非常に危険です。以下の原則を徹底しましょう
- 口コミ・レビューは全て無視
- 知人や「専門家」からの勧誘も断る
- 数字とデータを見て自分で分析
- 取引履歴は生のデータのみを信用する
- 自分で見つけたトレーダー以外はフォローしない
3. コピトレを装ったMAM・PAMM詐欺
3つ目は、コピートレードと偽ってMAM・PAMMシステムに誘導する詐欺です。この手法は法的な問題も含んでおり、非常に危険です。
コピートレードとMAM・PAMMの違い
コピートレードを悪用した詐欺でよく見られるのは、コピートレードだと言ってMT4/MT5口座を開設させ、実際に提供するのは「MAM・PAMM」システムという手口です。
最も大きな違いは、コピートレードなら、いつでも自分の意思で取引を停止できるのに対し、MAM・PAMMの場合は、契約期間中の取引停止が不可であるという点です。
コピートレード | MAM/PAMM | |
---|---|---|
取引の仕組み | 取引シグナルのコピーのみ | 投資者に代わってプロトレーダーが取引(信託投資に近い) |
停止 | いつでも可能 | 契約期間中は不可 |
決済/出金 | いつでも可能 | 契約期間中は不可 |
入金先 | 投資者自身の口座 | MAM:投資者口座<br>PAMM:専用口座 |
取引履歴 | 全て公開 | MAM:公開<br>PAMM:非公開 |
投資家が運用停止できない仕組み
MAM・PAMM詐欺の最も危険な点は、投資家の自由が奪われることです。
- トレーダーがポジションを持っている間は停止不可
- 「証拠金維持率に影響する」という理由で拒否
- 実際には投資家を逃がさないための口実
- 月に1回、四半期に1回などの制限
- 「ロックアップ期間中は出金不可」
- 利益が出ても自由に引き出せない
- 相場急変時でも損切り指示ができない
- トレーダーと連絡が取れなくなるケース
- 自分の資金なのに自分でコントロールできない
対策:口座の管理権限を事前確認
MAM・PAMM詐欺から身を守るためには、口座管理の権限と契約内容をしっかり確認する必要があります。
1. 口座管理権限の確認
- 自分でいつでも取引を停止できるか
- 出金に制限がないか
- 緊急時に自分で損切りできるか
- 登録メールアドレスは自分のものか
2. 契約内容の詳細確認
- ロックアップ期間の有無と期間
- 手数料体系の透明性
- 解約条件と手続き方法
実際のコピートレード詐欺被害例
参考までに、実際に発生したコピートレード詐欺被害例を2件ご紹介します。
詐欺集団が相対取引(OTC)を行う悪徳ノミ業者の場合、顧客の損は全て業者の利益となるため、コピー元(悪徳業者)はわざと不利な取引を行うことによって、顧客の資金を溶かそうとします。
以下で紹介する実例も、そのような詐欺業者に騙されたものではないかと推測されます。
被害例1
至急!回答お願いします。 海外fxの詐欺に遭いました。いわいるロマンス国際詐欺だと思います。 簡単に経緯を話すと、グループLINEでコピートレードをした時に、チャートが不正操作され、証拠金が全てなくなり、マイナスまで行きました。 翌日、アカウントマネージャーからマイナス分を払えとLINE来て一週間以内に支払いがないと起訴すると脅されました。業者は、United International Foreign Investment Center Ltd です。 この際、実際支払いをしないといけないですか?実際に入金した額は15万です。
詳細:ヤフー知恵袋
相手を信じてコピートレードを始めたら、不正操作で証拠金が溶かされ、その挙句に追証まで請求されてしまったという事例です。
近年急増しているという国際ロマンス詐欺の場合、日本人をターゲットにする詐欺師はSNSを利用することが多いのも特徴です。
被害例2
投資の詐欺で困っています。 海外のFXブローカーを使ったコピートレードなのですが以前から販売者との連絡が取れないまま現在も取引が続いています(私の方からは取引ができません)、当初50万円の資金で始めたのですが現在4万円程度まで残高が減っています。 ポジションの取り方を見ても明らかにキャッシュバックのみを目的としたものとしか思えません。何故こんな商材に手を出してしまったのか自分でも情けないのですが・・・。 とにかく解約しようにも会社の所在地、電話番号などもわかりませんしメールで連絡しても返答ありません、今後相場の動き次第では追証の恐れもありますので早急に処理をしたいです。
詳細:ヤフー知恵袋
この事例では、投資者にコピートレードだと説明しておきながら、実際は投資者が自分で取引を中断できないMAM・PAMMが適用されています。
投資者は残高が無残に減っていく様子を眺めるしかできないという悲惨な状況です。
詐欺被害に合わないための意識
コピートレードで詐欺被害に遭わないためには、正しい知識を身につけることが最も重要です。配信者は自分の利益のために巧妙な手口で勧誘を行うため、甘い言葉や誇大な利益の約束に惑わされないよう注意が必要です。
投資に関する詐欺的な勧誘については、金融庁が注意喚起を行っています。投資を検討する際は、必ず金融庁の公式情報を確認し、怪しい勧誘には応じないようにしましょう。
また、コピートレードは日本国内では提供が認められていないサービスです。そのため海外業者を利用することになりますが、これには追加のリスクが伴うことを十分に理解しておく必要があります。
安全にサービスを利用するためには、業者の信頼性を慎重に確認し、リスクを理解した上で自己責任で判断しましょう。
以下に、安全にコピートレードを利用するための基本原則をまとめました。
安全なコピートレードの基本原則
1. システムとお金の流れを理解する
- 入金先が自分名義の口座かを確認
- いつでも自分の判断で出金できるかをチェック
- 取引の停止権限が自分にあるかを把握
- プロバイダーが受け取る報酬の仕組みを把握
2. ブローカーの信頼性を確認
- 海外の金融ライセンス(CySEC、FCA等)を保有しているか
- 長期間の運営実績があるかを確認
- 資金保護制度があるかをチェック
- 所在地や連絡先が明確に公開されているかを確認
3. 投資勧誘には絶対に応じない
- SNSやマッチングアプリでの勧誘は全て断る
- 「特別に紹介」「限定募集」などの誘い文句を警戒
- 知人からの勧誘でも投資案件は避ける
4. 数字とデータで冷静に判断する
- 勝率ではなく、リスク管理能力を評価する
- 含み損を警戒、損切りが遅いほどリスクが高い
- 感情的な判断は避ける
5. 少額から始めて段階的に増やす
- 最初は小さな金額でテスト
- 実績を確認してから投資額を増加
- 一人に大金に資金を投入せず、分散を意識
- ストラテジー以上の資金を投入しない
コピートレードは正しく利用すれば、FX初心者にも有効な投資手法です。しかし、甘い言葉に惑わされて詐欺の被害に遭っては元も子もありません。
この記事でご紹介した3つの詐欺手法とその対策を頭に入れて、安全で賢いコピートレードライフを送りましょう。あなたの大切な資産を守るのは、最終的にはあなた自身の知識と判断力です。