SNSで「勝率80%」「月利30%」をアピールしているトレーダー、本当に信じていいのでしょうか。
結論から言うと、FXの成績は短期間で簡単に偽装できます。
本記事では、FX成績偽装の具体的なやり方3選と、嘘の勝率を見分ける方法を解説します。偽装の手口を知ることで、怪しいトレーダーやEAに騙されるリスクを減らしましょう。
📖 読了時間:約5分
- FXの成績をよく見せる具体的なやり方
- 嘘の成績に騙されない、見分けるポイント
FXの成績は簡単に偽装できる
FXの成績偽装は、特別なスキルがなくても誰でもできてしまいます。
よくSNS等で「勝ち続けているトレーダー」を見かけることがありますが、その成績が本物かどうかを確認する手段はほとんどありません。
- MT4/MT5の取引履歴は画像加工で簡単に改ざんできます
- デモ口座の成績をリアル口座のように見せることも可能
- 一時的には本当に勝てる手法もあります。←これが一番厄介
この後紹介する取引手法は、相場環境が合えば実際に勝ち続けることができます。しかし、いつか必ず破綻するリスクを抱えており、好成績の期間だけを切り取って見せれば「偽のプロトレーダー」の出来上がりです。
FX成績偽装のやり方3選|一時的に成績をよく見せる方法
FXで成績を良く見せる方法は、大きく分けて3つあります。
どれも特別なスキルは不要で、誰でも簡単に「勝ち続けているトレーダー」を演じることができてしまいます。それぞれの手口を詳しく見ていきましょう。
【方法①】別口座で両建てして勝った方だけ公開
最もシンプルで昔からよくある偽装方法が、複数の口座で両建てして勝った方だけを公開する手口です。

やり方は簡単です。2つの口座を用意して、同じタイミングで片方は「買い」、もう片方は「売り」のポジションを持ちます。どちらかは必ず勝つので、勝った口座の成績だけをSNSに載せれば「連勝トレーダー」の完成です。
この手口の特徴は、低予算で実行できることです。両建てなので片方が勝てば片方は負け、スプレッド分のコストだけで「勝ちトレード」を量産できます。
さらにハイレバレッジで取引すれば、短期間で一気に利益率を上げられます。数日で「資金10倍達成」のような派手な成績を作ることも可能です。
【方法②】ナンピンマーチンで右肩上がりの成績を演出
ナンピンやマーチンゲールといった手法は、相場環境が合えば本当に勝ち続けることができる手法です。だからこそ厄介です。
ナンピンとは、価格が逆行したときに同じ方向にポジションを追加して平均取得単価を下げる手法です(参考)。マーチンゲールとは、負けるたびにロットを倍にしていき、1回の勝ちで損失を取り戻す手法です。


どちらも「いつか戻れば勝てる」という考え方がベースにあり、レンジ相場が続く限り、確定損益は右肩上がりのチャートになります。
しかし、この手法には致命的な弱点があります。
- 強いトレンドが発生すると含み損が急拡大する
- いつか必ず「戻らない相場」が来る
- その時点で口座が破綻する
筆者はこれまで、ナンピンやマーチン手法を使った自動売買が数ヶ月で破綻するのを何度も見てきました。もちろん、この手法をうまく使いこなすトレーダーも存在しますが、好成績を簡単に演出できるため、偽物のプロトレーダーがよく使う手口でもあります。
【方法③】グリッドトレードで好成績を演出
グリッドトレードも、ナンピンマーチンと同様に「一時的な勝ちを演出できる」手法です。

グリッドトレードは、一定の価格間隔で買いと売りの注文を並べておく手法です。価格が上下に動くたびに利確が発生するため、レンジ相場が続く限り、コツコツと利益が積み上がっていきます。
しかし、こちらも致命的な弱点があります。
- 一方向にトレンドが出ると含み損が膨らむ
- レンジを抜けた瞬間に大きな損失が発生する
- 「いつか戻る」が通用しない相場で破綻する
ナンピンやマーチンとの違いは、最初から両方向にポジションを持つ点です。しかし本質は同じで、レンジ相場でしか機能しない「一か八か」の手法です。
好調な期間の成績だけを見せれば、安定して勝ち続けているように見えます。
嘘の成績を見分けるポイント

ここまで紹介した手口を踏まえて、嘘の成績を見分けるポイントを解説します。以下のポイントをチェックすることで怪しいトレーダーやEAを避けやすくなります。
含み損・ドローダウンが公開されているか
最も重要なチェックポイントは、含み損やドローダウン(最大損失)が公開されているかどうかです。
ナンピンマーチンやグリッドトレードは、取引履歴の損益だけを見ると右肩上がりでも、含み損を含めると大きくマイナスになっていることがあります。
確認すべき点は以下の通りです。
- 確定損益だけでなく、有効証拠金(含み損益込み)の推移が見られるか
- 最大ドローダウン(過去最大の資産減少幅)が公開されているか
- 含み損を抱えている期間がどのくらいあるか(負けトレードの塩漬けの可能性)
取引履歴の損益しか公開していないトレーダーやEAは要注意、「含み損を抱えている期間」に注目してください。
含み損の処理方法は適切か
含み損を抱えた場合に「どのように損切り」されているかも重要な判断ポイントです。
どんなに優秀なトレーダーでも、負けることはあります。勝率90%や、損切りの履歴がまったくない成績は、どう考えても不自然です。
特に注意すべきパターンは以下の通りです。
- 高い勝率をアピールしている(勝率は作れる)
- 含み損が膨らんでも損切りしていない(損失が膨らみすぎて破綻する)
筆者がコピートレードを日々分析してきた経験から言えるのは、本物のトレーダーは損切りが上手いということです。勝率や利益率の高さより、「負け方がうまいかどうか」を見るほうが信頼性の判断に役立ちます。損失が拡大する前に損切りができているかを確認しましょう。
綺麗な右肩上がりの成績は逆に危険信号
成績グラフが綺麗な右肩上がりのトレーダーやEAは、一見すると優秀に見えます。しかし、実は破綻リスクが高い傾向があります。
本来、相場は月によって動きが違うので、成績にバラつきがあるのが自然です。毎月安定して利益が出ている場合、ナンピンやマーチンで含み損を抱えながら、確定利益だけを積み上げている可能性があります。
逆に、月によって成績に波があり、負ける月もあるトレーダーのほうが、実は健全な運用をしていることが多いです。「安定した成績」に惹かれる気持ちもわかりますが、それが本当に実力なのか、リスクを先送りしているだけなのかを見極める必要があります。
フォワードテストを公開しているか
EAや自動売買を選ぶ際は、フォワードテストが公開されているかを確認しましょう。
フォワードテストとは、リアルタイムの相場で実際に運用した成績のことです。一方、バックテストは過去のデータを使ったシミュレーションであり、条件を調整すれば好成績を簡単に作れてしまいます。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- バックテストだけでなく、フォワードテストの結果があるか
- 第三者の検証サイト(Myfxbookなど)に登録されているか
- 運用期間が十分に長いか(最低でも3か月以上)
バックテストの好成績だけをアピールしているEAは、実運用で同じ結果が出る保証はありません。
まとめ|成績だけで判断しないことが大切
本記事では、FX成績偽装のやり方3選と、嘘の成績を見分けるポイントを解説しました。
- 別口座で両建てして勝ちだけ公開する
- ナンピンマーチンで右肩上がりを演出する
- グリッドトレードで好成績を演出する
- 含み損・ドローダウンが公開されているか
- 負けトレードや損切り履歴があるか
- フォワードテストを公開しているか
SNSで見かける、利益を自慢するトレーダーやEAは、これらの手口で作られた偽物かもしれません。
成績だけで判断せず、どのような手法で勝っているのか、リスクは何かを必ず確認しましょう。





